金沢工業大学教授・環境建築学部長 水野 一郎 Q.金沢の伝統的な家の特長はどんなところですか?まず雪国で暮らす知恵が詰まっていますよね。茶屋街の町家の屋根は玄関のある表通りに向かって下りてきています。こういう建築様式を「平入り」と呼び、隣の家に雪が落ちません。「平入り」はご近所で迷惑をかけないためのルールなんですね、最近の住宅メーカーはこの常識を知らないので呆れてしまいます。石川県の1戸あたりの住宅面積は全国でトップクラスです。これは雪が積もると庭や縁先などの屋外空間が使えなくなるので、代替機能を家の中に確保したからです。広い土間や縁側や雪囲いがそれです。これらの空間は冬の農作業場になったり、炭や薪や食糧の備蓄所になったり、防災避難地になります。土間を採り入れた住宅を設計したことがありますが、接客スペースとしても活躍しますよ。みなさんが家に客を呼ぶのが億劫なのは、玄関の上にあげるのが嫌だからですよね。でも土間までなら気軽に招き入れられる。現代の人はこういう知恵をもっと先人から学ぶべきでしょう。